声優業界は若手が有利だと言われているため、「30代で声優になりたいけど将来が不安で踏み出せない」という方も多いと思います。
しかし実際には、声優の専門学校や声優養成所で10代~40代まで幅広い年齢の方が声優を目指して演技を学んでいます。そして、もともとは会社員として働いていて、30代から声優を目指して声優デビューした人もいます。
30代には30代の強みがあり、若い人にはない人生経験があります。また、近年では動画コンテンツやオーディオブックなどの普及により、声を使った仕事が増えています。声優の仕事が増えている時代だからこそ、30代だからという理由で声優の夢を諦めてほしくありません。
ここでは、30代の人に向けて、声優になるまでの道のり、活動方針の決め方、30代の強みを活かした声優活動の方法について解説します。
30代から声優になるには?
30代から声優を目指す場合、「声優の専門学校」か「声優養成所」で演技を学ぶのが最も一般的です。
声優養成所や専門学校では、10代~40歳くらいまでの年齢の方が演技を学んでいるため、30代でも問題なく声優を目指すことができます。ただし、声優を目指している方の約8割は10代~20代なので、年下が多い環境で学び続けられる覚悟は必要です。
声優になるまでの道のり
- 「声優の専門学校」か「声優事務所」で演技を学ぶ
- 声優事務所のオーディションを受ける
- 声優事務所のオーディションに合格して声優として活動する
声優事務所に所属する場合は上記の流れとなりますが、演技を学んでフリー声優として活動したり、YouTuberとして活動したりするなど、卒業後の活動方法は複数あります。
声優の専門学校は年齢制限なし
声優の専門学校は、入学するときに年齢制限はないので30代の方でも入学できます。声優の専門学校の入学試験は「面接」と「書類審査」があることが一般的で、演技の実技試験はありません。
声優の専門学校に入学する人は、基本的に演技未経験者です。そのため、30代で声や演技の活動経験がない人は専門学校で基礎を学ぶのがおすすめです。
ほとんどの専門学校は入学してから2年間で卒業ですが、まれに3年制の専門学校もあります。学費は2年間で約260万円かかるため、貯金したお金で通学する、アルバイトしながら通学する、奨学金制度を利用するなど、経済状況に応じてどのように学生生活を過ごすか考えておきましょう。
また、専門学校によっては社会人・会社員向けに土日や夜間のコースがあります。そのため、会社員として働きながら専門学校に通う選択肢もあります。
声優養成所は年齢制限がある場合がある
声優養成所は、入所時の年齢制限がある場合があります。年齢制限がある場合、18歳~25歳くらいを対象としているため、30代の方は年齢制限がない声優養成所を選ぶ必要があります。
声優養成所の入所条件は「演技経験1年以上」や「未経験でも可能」など様々です。演劇部に所属した経験がある方、趣味で演技をしていた方などは入所できる可能性があります。
声優養成所に入所するには、養成所のオーディションに合格する必要があります。入所希望者には「書類審査」「演技審査」「面接」が行われるのが一般的です。声優養成所のオーディション合格率は20%~40%と言われているので、演技未経験は声優の専門学校で演技の基礎を学んだ方が良いでしょう。
声優養成所の学費は1年間で約30万円、演技を学ぶ期間は1年~3年間で、会社員として働きながら声優養成所に通う社会人も多いです。また、年齢層は専門学校よりもやや高めで、20代~30代が平均年齢層です。
独学で演技を身につける
最近はYouTube動画の講座や、オンラインのボイストレーニングや声優レッスンなどがあり、専門学校や声優養成所に通わずに、独学で演技を身につける手段もあります。
独学で演技を学ぶメリットは、無料もしくは低予算で演技を学べること、時間の融通が利くという点です。デメリットは自宅で声を出せる環境が必要、時間をかけてしっかり学べないこと、モチベーションの維持が難しいことです。
自宅で声を出すのが難しい場合や、人に教わった方がわかりやすいという人は、1ヶ月間や単発で受けられるボイスレッスンや声優スクールで学ぶ選択肢もあります。
声優としての目標や活動方針を決める
30代から声優を目指すなら、まずは声優活動の目標や活動方針を決めましょう。近年ではYouTubeやボイスコミックなど声を活かした仕事が増えているため、働き方の種類も増えています。
目標や活動方針の例
- 声優事務所に所属してアニメに声を当てたい
- YouTubeで活動したい(YouTuber、VTuber)
- フリー声優として活動したい
- 声優の仕事(収入)だけで暮らしたい
- 地元で活動したい
アニメ出演したいなら、声優事務所に所属できるくらい演技が上手くなければいけません。そのためには、毎日全ての時間を使って演技を勉強して、合格率1%の声優事務所の所属オーディションに合格する必要があります。
フリー声優として活動したいなら、インターネットや知人を通じて声優の仕事を探さなければいけません。フリー声優として知名度を上げるため、ツイッターなどのSNSで情報発信する、仕事の依頼を受けるためウェブサイトに登録するなどの活動も必要です。
声優になるまでの働き方を決める
声優の専門学校や声優養成所に2年~3年間通える貯金があれば、貯金で生活しつつ集中して演技を学ぶことは可能です。しかし、多くの方は貯金だけで生活するのは経済的に難しいと思います。
そのため、自身の経済状況に応じてどのように演技を学ぶ期間にどのように生活するか考えて、実現可能な方法を検討しましょう。
声優になるまでの働き方の例
- 会社員を続けながら夜間や土日の専門学校や声優養成所に通う
- 仕事を辞めてアルバイトしながら専門学校や声優養成所に通う
- 奨学金制度を利用して専門学校に通う
30代で声優として成功するには
声優を目指す場合、演技練習に時間をたくさん使える若い人の方が有利だと言われていますが、30代の人は若い人にはない強みを持っています。
30代で声優として成功するために、「大人の声の強みを活かす」また「これまでの経験を活かす」ことで声優として成功する確率を上げられます。
大人の声の強みを活かす
30代の人は若い人よりも低い声や渋い声を出しやすいため、大人のキャラクターや落ち着いた声のナレーションで強みを活かせます。また、声優業界は若い人は早いうちに声優の夢を諦めることが多いため、大人の声は需要があります。
大人の声を活かしやすい仕事
- 大人のキャラクター
- 落ち着いた声の企業のCMや商品紹介のナレーション
- オーディオブック(朗読)
- ラジオパーソナリティ
これまでの人生経験を活かす
正しくキャラクターを演じるには、人生経験が豊富な方が有利です。たとえば「会社員の役」を演じるなら「会社員」として働いた経験がある人は演技がリアルになります。30代の人はこれまでに多くの経験をしているため、若い人よりもリアルな演技ができる点で有利になります。
また、これまでの経験に加えて「声優」という特技が加わることで、掛け合わせの強みになります。たとえば、「事務職員だった簿記ができる声優」「料理人だったイタリア料理が作れる声優」など独自の強みになります。
独自の強みがあれば、「簿記試験を解説するキャラクター」や「イタリア料理の調理工程を説明するナレーター」など、その人だからこそできる仕事が受けられるため、声優として成功する可能性が高まります。