声優の収入は、仕事を受けた本数や成果に応じて支払われる「完全歩合制」です。新人声優は月収0円~10万円になるのが一般的で、ベテランの人気声優になると月収100万円以上になる場合もあります。
また、声優は独自のランク制度により「ジュニア」「ランカー」「ノーランク」に分類され、アニメや洋画吹き替えの収録報酬は声優のランクによって決まります。しかし、ゲームやパチンコに出演した際の報酬はランクでは決まらないなど、報酬形態は少しわかりにくいです。
ここでは、声優の収入や報酬の仕組みについて詳しく解説します。
声優の月収・年収
声優の収入は人気やキャリア、ランクによって決まります。新人声優は仕事がなければ収入は0円、人気声優やベテラン声優になると年収は1,000万円以上になります。
声優のランク(キャリア) | 月収 | 年収 |
---|---|---|
新人声優(駆け出し) | 0円~10万円 | 0円~120万円 |
中堅声優 | 20万円~30万円 | 240万円~360万円 |
人気声優、ベテラン | 80万円~400万円 | 1,000万円~5,000万円 |
人気がある新人声優なら、ベテラン声優と同じように1,000万円以上の年収が期待できます。年齢が20代の若手でも1,000万円以上の年収になる可能性はあるので、声優は夢のある仕事だと言えます。
声優の月収の平均はどれくらい?
声優の月収の平均は毎月15万円前後と言われています。レギュラー番組を持っていたり、毎月仕事を安定して貰えていたりする声優になると月収約15万円なので、声優業だけでギリギリ生活できます。
声優としての人気やキャリアによって収入は変わるため、平均収入はあまり当てになりません。もちろん、新人声優で仕事がなければ平均収入以下になります。
声優の収入の仕組み
声優の収入の仕組みについて解説します。
声優の給料は「完全歩合制」
声優の給与形態は仕事の成果で報酬が得られる完全歩合制です。仕事を多くもらえたり、主役キャラクターなどを演じたりすると多くの収入を得られます。
新人声優と人気声優の収入に差が大きい理由は、人気声優は報酬金額が多い主役キャラクターを演じて収入が多くなるからです。
声優は所属事務所と「専属契約」を結びます。通常の会社員やアルバイトなどの仕事は「雇用契約」なので働いた分だけ給料がもらえますが、声優は自身の仕事で稼いだ金額が収入として得られます。
多くの若手声優はアルバイトしながら生活している
声優事務所に所属したばかりの若手声優は、基本的に仕事をもらえません。若手声優は声優としての収入だけで生活できないため、アルバイトして生計を立てています。
アルバイトをしながら声優の仕事を少しずつ増やしていき、声優として認知を広げていきます。アニメの主要キャストの選考は声優事務所に配役オーディションの案内があるため、チャンスが巡ってくるまで若手は辛いアルバイト生活が続くことになります。
報酬は声優事務所から声優に支払われる
声優の仕事は声優事務所(プロダクション)を通して依頼を受けます。声優の仕事の報酬はアニメ制作会社や音響制作会社から声優事務所へ支払われ、声優事務所から出演した声優へ支払われます。
声優事務所は出演料金から一定割合のマージン(仲介手数料)を差し引き、声優へ報酬として支払います。マージンの割合は事務所の専属契約内容によって異なりますが、一般的に声優は報酬の8割~5割を受け取り、事務所が2割~5割をマージンとして受け取ります。ほとんどの事務所は2割~3割をマージンとして設定しています。
声優と事務所のマージン比率
マージン比率 | 15,000円の仕事の場合 |
---|---|
声優8割:事務所2割 | 声優12,000円:事務所3,000円 |
声優7割:事務所3割 | 声優10,500円:事務所4,500円 |
声優6割:事務所4割 | 声優9,000円:事務所6,000円 |
声優5割:事務所5割 | 声優7, 500円:事務所7, 500円 |
新人声優の報酬は最初の3年間15,000円固定
新人声優の報酬は最初の3年間、アニメなどの収録報酬は1本あたり15,000円固定です。アニメの主役キャラクターを演じたり、セリフが多かったりしても報酬は15,000円固定となります。
声優の報酬が固定の理由は、日本俳優連合(日俳連)の新人登録制度が関係しています。新人声優はデビューして新人登録されると、「ジュニアランク」としてランク付けされます。ほとんどの声優事務所は日本俳優連合に加盟しているため、ジュニアランク=報酬15,000円固定というルールが適用されるという仕組みです。
1つのセリフあたりの報酬が支払われる「ワード制報酬」
声優の報酬支払いでは、1つのセリフ(1文)に対して報酬が支払われる「ワード制報酬」があります。仮に「1ワード300円」という報酬が設定されていて、100回のセリフがあるなら300円×100回のセリフ=30,000円の報酬となります。
ゲームやパチンコで使用される音声の収録では日本俳優連合の報酬ルール(15,000円固定)が適用されません。そのため、ゲームやパチンコなどの収録の仕事ができれば、新人声優でもワード制報酬でしっかり収入を得ることができます。
ゲームやパチンコの収録の報酬は、必ずしもワード制報酬となっているわけではありません。「1回の収録で5万円」「キャラクターの台本全てで10万円」など、発注側が自由に報酬形態や金額設定できます。
声優の仕事の種類ごとの収入
声優の仕事は「アニメ」「ナレーション」「ゲーム」「ラジオ」など仕事の種類が幅広いです。仕事の種類ごとの収入について紹介します。
声優の仕事の種類 | 報酬の相場 |
---|---|
アニメ声優 | 1本あたり1万5,000円~4万5,000円 |
ナレーション | 1万円~10万円 |
洋画吹き替え | 1本あたり1万5,000円~4万5,000円 |
ゲーム声優 | 1ワードあたり30円~300円 |
パチンコ声優 | 5万円~10万円 |
ラジオパーソナリティ | 3,000円~3万円 |
アイドル活動(歌手) | レコーディング3万円~20万円 |
アニメや洋画吹き替えは「ジュニアランク」で1万5,000円、その後は「ランカー」になり最大4万5,000円、その後は報酬交渉する「ノーランク」となり報酬は交渉となり金額上限なしになります。
ゲーム、パチンコ、アイドル活動などの仕事は、声優の人気や知名度によって報酬が変わります。ベテラン声優で能力が評価されていたり、新人声優でも人気があったりすると報酬は高くなります。
声優が収入を増やすには
声優事務所に所属すると担当マネージャーが付きますが、基本的にマネージャーや事務所は何もやってくれません。待っていれば仕事が入ってくるという考えは捨てて、自分から仕事を取りに行く、知名度を上げるために活動することが大切です。
下記のような行動で、収入を増やすための努力を意識すると良いでしょう。
- TwitterやYouTubeなどで積極的に発信する
- 仕事をもらうきっかけになる繋がりを作る
- 営業活動をする
- 知名度を上げるためのブランディング能力を鍛える
- 声優としての能力を鍛える
- 声以外の特技を身につける(声優+αで売り出す)
- コミュニケーション能力、人に好かれる話し方や伝え方を身につける
アニメやゲームで主役を演じる
アニメやゲームで主役として配役されるのはとても難しいですが、主役を演じることができれば知名度や人気を獲得できます。また、アニメの主役を演じることで、アニメから派生したゲームやパチンコ、ラジオなどの仕事も増えます。
つまり、声優として収入を増やしたい、成功したいのであれば、まずは主役を演じることを目標とするのが良いです。そのために、普段から主役を演じられる声優としての能力を高める、自分自身の能力を高める意識が大切になります。
声優以外の活動の幅を広げる
声優として声の仕事だけではなく、他の活動も組み合わせることで仕事を得られる機会を増やし、タレントとしての価値を高めることができます。
声優以外の活動の幅を広げる一例
- 歌唱力
- ダンス
- アイドル活動
- 需要がある外国語(英語、中国語、韓国語)を学んで海外の仕事を得る
- 文章や物語を書ける(声優ブロガー、声優シナリオライター)